第57回 野村狂言座。
2012年1月13日(金)18:45~ 於:宝生能楽堂
◆素囃子『神舞』
大鼓:佃良太郎 小鼓:住駒充彦 太鼓:金春國直 笛:藤田貴寛
◆『夷大黒(えびすだいこく)』
大黒:深田博治 夷:竹山悠樹 長者:月崎晴夫
◆『空腕(そらうで)』
太郎冠者:高野和憲 主:石田幸雄
◆『若菜(わかな)』
海阿弥:野村万作 果報者:野村萬斎
大原女:竹山悠樹・中村修一・村井一之・内藤連・岡聡史
新春らしく、玄関には門松、ロビーには樽酒と鏡餅。今まであまり気にしなかったのですが、樽には「寶生」の銘が入ってるんですね。お客さんの入りは、正面最後方付近と脇正面後方2~3列分に空席が目立ちました。自分の席の斜め前にいつものw河合祥一郎先生。外人の方を伴っていらっしゃいました。あとで気が付いたのですが、先に郵送されたチラシと現地で渡されたパンフとを比べて『若菜』の配役に変更が。大原女sから高野師と深田師が外れて村井師がin。ニューフェイスで固めましたね。
※『神舞』
今年のオープニングは神舞の小気味よいパーカッションで。座った位置の関係でしょうか、強めのエコーがかかったように聞こえてきました。自分はこういう音質が好きな方なので鼓膜の保養でしたw
初見。長者が夷様と大黒様をお迎えし、果たしてあらわれた2人の神様が由来を語り長者に福を与える様を見せて、見所の観客にも福のおすそわけ、という実にお正月らしいめでたい演目。ということで笑いの要素はこれと言って無く、夷様と大黒様の有難いお姿を会場一同で拝んで一年の無病息災を願う、という観客のスタンスで良いのかな、とw
神様達を迎える為の準備として、脇正面側の目付柱とシテ柱の間に細い注連縄を掛けるのですが、月崎長者と後見の岡くんが作業をしている間に、ちょっとした力の掛け違いか、なんと注連縄がぷっつり切れてしまうアクシデント。切れた瞬間は見えなかったのですが、確かに「ぶちっ」とそこそこ大きな音が聞こえたような。2人の作業がなかなか終わらないのでおかしいなとは思ってました(^_^;)結局、寸足らずになった注連縄をシテ柱に巻くのを諦めて、シテ柱すぐ横の橋掛かりの欄干に結んで事なきを得ました。"現場"を真正面でご覧になっていらっしゃっただろう脇正面のお客さん達はハラハラされたんじゃないかと。
長者のもてなしに誘われて深田大黒と竹山夷登場。大黒様は袋と小槌、夷様は釣り竿と実に分かりやすい小道具。どちらかと言えば上背がある深田師が、身体を屈めたままひょこひょことユーモラスに歩を進めて来る姿がまるで媼のようで、そのちんまりと可愛い?姿に一瞬石田師が演っているのかと錯覚w最後は招いたくれた長者に、夷様は釣り針を、大黒様は宝の袋と小槌を気前よくあげてしまいます。元々裕福な上にこんな有難いものまで頂いて、めでたさ一人占めの長者で羨ましい限りですが、ここは前述したように長者の福をおすそわけしていただく気持ちでいれば…。
昨年の"My締め観劇"@セルリアン能楽堂で大いに笑わせていただいた曲に一ヶ月足らずで再会。今回は、前回にSッ気漂わせるw主人役だった高野師がシテ太郎冠者。全方向にご自身の魅力を噴出しまくったw萬斎太郎冠者@セルリアンとは対照的に、威張る場面もビビる場面も実に律儀に演じられた太郎冠者だと感じました。
多分、こちらの方が正当な見せ方だとは思いますが、なにせ前回の太郎冠者がアレだっただけにwww比較して前半の一人芝居のところはやや平板な印象に。しかし後半、太郎冠者の本当のビビりっぷりを知っていてしらばっくれている主とのやり取りからはメリメリハリきっちり。脇を支える石田主が今回も盤石の受けと返しで太郎冠者を盛りたてます。やはりこの『空腕』は面白い!1曲目『夷大黒』でほっこりと寿ぎの空気を味わった後に直球の大笑いネタで、めでたく今年の能楽堂初笑いをおさめることが出来ましたw
現実の世界ではまだ寒さ厳しいところに、能楽堂では既に春の演目が。これも観て笑うというよりは、いにしえの京の都は大原の、のどかな風景を思い描きながら舞台が醸し出す空気を楽しむ1曲かなと。
野遊びを楽しもうと大原にやってきた果報者に付き添う海阿弥はレジャーのコーディネーターという趣きw通りかかった大原女達を呼び寄せて、あれやこれやと酒宴を盛り上げていきます。万作海阿弥の実に楽しそうな表情が良い。対する萬斎果報者は時に杯を飲み干すものの、ほとんど葛桶にどっかりと座ったまま完全に観客の一人になってましたw今回の野村狂言座で一番労力が少なかったかもw良い意味で空気。おのず舞台上にずらりと並んだ大原女に目が行きます。
大原女一同、登場では摘んだ花束を頭の上にかざして歩く姿が何とも優雅。メンバーはリーダー竹山師を筆頭に中村・村井・内藤・岡の各師という見事に若手勢揃い。いまだ全員のお顔を見分けるのに不安があるのですが、今回は美男鬘でますますお顔の判別がつかない(*_*;百人一首を謡に乗せて歩いていたように記憶してますが…「君がため 春の野に出でて若菜つむ 我が衣手に雪は降りつつ」だっただろうか…間違ってたらすみませんm(__)m
果報者&海阿弥と合流し酒宴になってからは大原女一人一人に見せ場(聞かせどころ)があって、年の初めから万作家ニューフェイス大アピール大会でもありました♪お顔の判別が付かないのでパンフの番組表の通りの配置と前提しますが、まず村井師の美声に耳が溶けましたwちょっとオペラチックな声質とも聞こえますが、謡がどっしりと落ち着いていて若手っぽくない感じさえしましたね。謡の形は出来ていてもまだ声が生っぽい方もいらっしゃいましたが、皆さん見せ場をキッチリとこなしていて楽しんで観られました。また別の演目でもちょくちょく機会がありそうでこれからも期待。良い酒宴でございました(^o^)
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