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萬斎 イン セルリアンタワー 11。

2011121618090000 2011年12月16日(金)19:00~ 於:セルリアンタワー能楽堂

◆解説 野村萬斎

◆『雁大名(がんだいみょう)』
  
  大名:石田幸雄 太郎冠者:深田博治 雁屋:月崎晴夫
  後見:岡聡史

◆『空腕(そらうで)』
  
  太郎冠者:野村萬斎 主:高野和憲
  後見:中村修一

※解説

今年最後の若旦那舞台は、正面4列目ほぼど真ん中という好条件で拝見出来ました♪まぁ本当にこぢんまりした能楽堂なので、どこから観てもそう問題無いんですけどねw

(以下、萬斎師のトークを箇条書き的に。例によってメモ不完全により意訳多し。訂正・補足ありましたら宜しくお願い致します)

セルリアンタワーでの公演ももう10年、11回を数えた。自分が杮落としで『三番叟』をさせていただいて、それ以来ずっとお世話になっている特別な場所の一つ。それでもまだ10年なので(柱の一つを触りながら)木がやけていない。

本日は女性率が高いですねwww

今年を振り返って。私を今日初めて観た方には何のこっちゃ分からない話になるかも知れませんがw

3.11の震災の際はパリに居た。その月に『まちがいの狂言』を向こうに持って行く企画だった。情報がなかなか入って来なくて浦島太郎のような状態になってしまっていた。携帯も繋がらない。TVのニュースを見てもフランス語だから良く分からない。何とかPCからニュースを見て惨状を知った。その間もデマのメールが入って来たりして情報が混乱しているところもあった。

『まちがいの狂言』はパリで良くウケた。テアトル・ド・ソレイユという劇場で上演したのだが、そこの芸術監督が震災に対する募金を募ってくれた。上演後、装束を着けたまま皆で募金のお願いをした。向こうでは募金箱でなくシーツ(テーブルクロス)を広げてそこにお金を投げ入れるようにしてもらった。どこからでも入れられるし、どうせ入れてもらうなら"丸いモノ"より"紙"の方が良いのでw"紙"を入れやすい募金シーツだったwそれはSePTでもやってみたが結果は上々だったと思う。

日本に帰って来ても混乱の真っただ中だった。この中で、自分達は狂言というものをどう扱っていけばいいのかかなり悩んだ。こういう時だからこそ、という考えもあったが、結果的には3月いっぱいの公演は全てキャンセルして秋に回した。しかし狂言は「観た人を元気にする力がある」のだから、その後はそのためにもしっかりと活動させてもらった。

6~7月は三谷幸喜さんの舞台『ベッジ・パードン』に。2ヶ月の長丁場は初めてだった。こんなご時世(不況に震災が加わった)だからお客の入りが懸念されたけれど、さすがに人気脚本家と人気俳優メンバーの組み合わせは強くて、連日満員だった。春は自粛ムードが強かったけれど、初夏辺りから日本人の心の持ちようが変わってきたのかも知れない。ふさぎこんだところから一歩踏み出して行こうという気概を感じた。

震災で映画『のぼうの城』の公開も延期になった。本編中の水攻めのシーンが震災の津波を思い起こさせるとして。1年延ばしておそらく来年の秋になる。何年経ってもあの震災の生々しさというのは消えないものかも知れないけれど、この映画は人間が困難にどのように立ち向かっていくかを描いており、希望に満ちているお話なので、是非上演して皆さんにご覧になっていただきたいと思っている。

三谷さんの舞台が終わり、その後やるはずだった映画のプロモーションの仕事が公開延期になってごっそり抜けたので、暇になるかと思ったのだが、その舞台に拘束されている間、沢山の狂言舞台をキャンセルしていたので、それを挽回すべく公演がぎっしり入ってきた。その上、朝日新聞夕刊のエッセイの仕事も来た。皆さん、朝日購読されてますかw?もしされて無かったら今日の帰り、駅のKIOSKに寄って下さいw

今月上旬にはSePTで『狂言劇場』。「MANSAIボレロ」としてあのボレロを舞った。モーリス・ベジャールの振り付けで有名だが、半裸で肉体美を見せつける舞踏。女性のみならず、ソッチの方の男性も惹きつけられるのではw やはりああいう震災があったので、自分は再生のイメージを盛り込んだ。シルヴィ・ギエムのボレロを盛岡の岩手県民センターで観た。復興支援として彼女が企画してくれたもの。お客の反応が素晴らしかった。ギエムの舞踏に力をもらっているようだった。あの場に「再生していく力」を見た思いがした。

そろそろ曲の解説をしないと時間がwww

『雁大名』。狂言は階級のある世界。大名が出て来るが、いわゆる名の通った大大名ではなく、名主さんにちょっと肩書きが加わった程度。自分の土地に何か問題が起こった時、わざわざ都に出向いて裁判をしなければならなかった。それがめでたくまとまった際は、お世話になった人達を招いてもてなす習慣がある。大名は家来の太郎冠者に酒の肴を買って来いと命じるが、その訴訟事でお金を使い果たしてしまっているので、そこは律儀で機転の効く太郎冠者がタダで肴をせしめてこようとする。どんな作戦が展開されるのか、それは見てのお楽しみということでw

『空腕』。空威張りの話。「空威張りの腕自慢」という意味。普段太郎冠者が大ボラばかり吹いているので、主人がちょっと懲らしめてやろうとする。使いに行かされて真っ暗な夜道を進む太郎冠者。その後を主人がこっそり付いて来る。暗闇の中ではありもしないものにおびえてびびってばかりの太郎冠者なのだが、いざ家に戻るとホラを吹いて強がって見せる。それを主人がどのようにあしらうのか。昔の尺貫法が出て来るが、今でも自分の世界では尺貫で話をすることが多い。「あと一尺アップ」とか。(パンフを見ながら)「十四五間(じゅうしごけん)」とはメートル法なら180センチぐらい。

(12月25日気付。閲覧者の方から補足を頂けました。語句解説のところで、萬斎師が「間違えているところがあります。《十四五間は181センチメートル》とありますが、一間は畳横幅二畳分ですので、そんな訳はありませんね。」と訂正したのですが、文字が小さくてパンフの何処に書かれているのか探せないようだったとのこと。↓の老眼の話に繋がって行きますねw)

ちなみに計算すると、14,5間は25~27メートルになるようです。

(解説からちょっと離れて)こうやってパンフを見ると字が小さいなと思う。もともと視力は2.0あったのだけど、最近は手元が見えにくくてwwwこういう小さい字が苦手になってしまった。昔はアンケートに「パンフの字が小さい」と書いてあると「なんで見えないんだよ」と腹が立ったものだがw自分が同じようになってみると身につまされる。

【質疑応答】

Q. 今年観た舞台で印象に残ったものは?

A. (かなり考えて)やはりさっき話したギエムの『ボレロ』かな。観たいものは一杯あるのだけれど、忙しくてなかなか思うようにならなかった。自分の事で精いっぱいだったような。

Q. 『にほんごであそぼ』に出演しているのは何故?(←小・中学生ぐらいの女の子から)

A. 一言で言えば「頼まれたから」www 来年でちょうど10年になる。日本語の言葉の意味よりもまず、音の面白さを伝えるというところに、狂言のエッセンスを感じる番組になったと思う。子供達と一緒に居ると、幼児の心をつかむには自分が幼児の心になることだなぁと。例えば狂言の達人達は歳をとっていても「可愛い」と評されるw達人になればなるほど、子供の心になっていくから。「四十五十は洟垂れ小僧」と言われる世界だから、40代の自分はまだまだそこまで行けて無くて煩悩にまみれているwさすがに10年も経つと、共演の子供達とどんどん歳の差が離れていくのが…そのうち「おじいちゃん」の立場になっちゃうのかなw

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※『雁大名』

初見。大名と家来の太郎冠者が結託してタダで酒の肴をせしめるお話wこの手の話は大体最後に失敗して終わりになるのだけれど、コレは珍しく大成功で終わります。なにせ大名が石田師、太郎冠者が深田師ですからおおよそ悪事を企むようには見えないわけで。どう見ても失敗モードだと思っていたので(あらすじ予習していません)意外でしたw

雁は剥製モドキのような小道具でも使うのかなと思ったら、羽根ペンを二回りくらい大きくしたぐらいの羽根の刷毛?で雁に見立てていました。もしかしたら後見が舞台上のゴミを集める時に使うアレかな?二人が示し合せて他人を装い、雁屋の前で大喧嘩。あわてて仲裁に入った雁屋が喧嘩に気を取られている隙にまんまと雁とふくさをかすめ取る。結構荒っぽい計画なんですが、前述したように石田大名に深田太郎冠者なもので…これで引っ掛かった月崎雁屋さんお気の毒としか言いようがございませんw

ラストは「しめしめ、上手くいったなぁ」で終わってしまうのがちょっと拍子抜けでした。やっぱり狂言の登場人物は最終的にはどこかで失敗して欲しいものだと思ってしまうんですねぇ。

※『空腕』

これまた初見。『弓矢太郎』も真っ青の、太郎冠者のビビリっぷりが最大の見モノ。いやいやいやもうこれはこれは…THE MANSAI無双とでも言うべき、萬斎師の魅力がダダ漏れ状態の太郎冠者でした~。主人の前での空威張りっぷりも、夜道でのグダグダなビビリも、もう一瞬一瞬が逐一可愛い!!なんだろうこの可愛いビーム全方向照射は!!どうしてくれようこの四十路!!そして滅茶苦茶笑える!!腹筋痛い(泣笑)!!

全体的にかなり写実に沿った演じ方に見えまして、それは観る人によってはあざとく感じられるかも知れませんが、何よりかにより観ていて楽しくて仕方が無い。ご一緒した某常連さんが「お客の反応をちゃーんと見てるよね~」と仰ってましたが同意。見所の空気もノッていたと思います。最初から太郎冠者のホラを見抜いていて、ひとつ罠にはめてやろうと企む高野主にSッ気(爆)が漂ってたのもまたよろし。結構ダークな空気背負ってたような?

なんかもう具体的な感想が浮びませんで「可愛い可愛い」と繰り返したいだけ(苦笑)。自身、これが今年の観劇納めであり萬斎納めだったのですが、春先からずっしりと掛かっていた震災の影がこの『空腕』大笑いで雲散霧消していくような心持ちでした。後ほど今年もMy ベスト10記事を書こうかと思ってますが今の時点では(自分が猛烈に楽しんだという点でw)TOPにしちゃっても良いかなーと。今はそのくらいの勢いですw

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コメント

長いトークと演目のレポ、有難うございました。

メモもせず楽して観ていたので、一つだけ聞こえていたことがありましたので、お知らせします。

語句解説のところで、萬斎さんが「間違えているところがあります。《十四五間は181センチメートル》とありますが、一間は畳横幅二畳分ですので、そんな訳はありませんね。」と、訂正していましたが、文字が小さくてその場所が探せない(笑)ようでした。

ちなみに計算すると、14,5間は25~27メートルになるようです。

大勢に影響のない話で失礼しました<(_ _)>

投稿: どじこ | 2011年12月18日 (日) 22:34

>どじこさん

わわわわ、すみません!すっかり亀レスになってしまいました(大汗)!
そうでしたそうでした。確か尺貫法についての話があったんだけど上手くメモが取れなくてレポに織り込めなかったんですよね~。
早速補足を入れさせていただきました。助かりました~。
また何かありましたら宜しくお願い致しますw

投稿: RICC | 2011年12月25日 (日) 20:38

( ´艸`)プププ私も萬斎さん 大好き!!

「可愛い可愛い」と繰り返したいだけ~~*^^*
その気持ち とっても 共感できます。
私もいつも狂言を見ていて 萬斎さんの笑顔は"とびきり可愛い"と思っていましたから~~♪♪♪
今日は とっても楽しかった~このブログ最高よ。

投稿: のぞみ | 2012年3月 9日 (金) 16:40

>のぞみさん

はい、この公演はもう「萬斎可愛い納め」と銘打ちたいくらいの会でしたねw狭い能楽堂なので、舞台と見所が近くて可愛い笑顔が手に届く位置に錯覚しそうなくらいでした。ちょっとお高いのがネックなんですが、トークも必ずあるし、サロン的な雰囲気なので思わずいろいろ喋っちゃうというハプニングも期待出来るので手を出してしまうんですよね…。

投稿: RICC | 2012年3月10日 (土) 16:21

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