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振り返り。

今まで一度もこの手のことはやったことが無いんですが…今年はなぜか思いついたのでhappy01来年は多分やらんと思いますcoldsweats01

【今年の舞台Myベスト10】

  1. 能楽現在形 劇場版@世田谷 『舎利』 (スペクタクル能にスーパーサイヤ人出現)
  2. 狂言ござる乃座-40th Anniversary- 『歌仙』 (絢爛豪華・狂言絵巻)
  3. 新宿狂言Vol.14 阿呆狂言会 『蝸牛』 (本気で死ぬかと思うほど笑った)
  4. 狂言劇場 その伍 『彦市ばなし』 (萬斎師そのまんま・笑)
  5. 万作を観る会 喜寿記念公演 『船弁慶』 (火花散る知盛VS弁慶バトル)
  6. 狂言劇場 その四 『唐人相撲』 (「ニッポンジン、イヤー!」で万作師の勝ち)
  7. 第41回野村狂言座 『越後聟』 ("一人シルク・ド・ソレイユ"に息を呑む)
  8. 国立能楽堂4月狂言の会 『濯ぎ川』 (京都のお家のブラック狂言にびっくり)
  9. 国立能楽堂4月狂言の会 『博奕十王』 (サイコロ・トリックあっぱれ)
  10. 第44回野村狂言座 『金津地蔵』 (ユウ君、ここまで来てしまった…)

「MANSAI◎解体新書」シリーズは省きました。『わが魂は輝く水なり』と『マクベス・リーディング』が入ってませんが…察して下さいcrying舞台は若旦那一人のものではございませんので…。「いろいろ考えさせられた」という点では上位に入っちゃうかもcoldsweats01

そうそう、今年は若旦那を2度もTVドラマで楽しめたというのが大きかったですtv幕末チャンバラヒーローに"いとやんごとなき"お方…相変わらず守備範囲の広さが良く分からんwobbly特に後者は、新聞で発表されるまで全く(内輪の)インフォが無かったものだから本当にサプライズになってしまいました。朝っぱらから「駅売り新聞買えー!!!」と急かされたあの日bleah

今年一年、若旦那にたっぷりと楽しませてもらえました。来年はプライヴェートが忙しくなり、どれだけ舞台に足を運べるか皆目見当が付かないのですがweep行けそうな時は堂々と(笑)。

今年も母屋&当ブログにお越しいただいた皆様、まことにありがとうございましたconfident

来年も若旦那に大いに期待しつつ…良いお年を~paper

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雑感箇条書き。

『あの戦争は何だったのか~日米開戦と東条英機』

前の日記で落としちゃった、部分的にはどーでもいいbleah雑感を。

  • とにかくいきなり画面明る過ぎshine『日曜ナントカ劇場』かと思ったthink
  • 結局、軍服が完璧にハマってたのは阿部寛さんと萬斎師だけかwobbly
  • たけし東条の初登場シーンはなんとなくオカルティックshock
  • 築地シーンでトイレの奥から銃がにゅっと出たのには焦ったcoldsweats01
  • 武藤軍務局長役の高橋克実さんは、熱演なのかただのいっぱいっぱいなのか判断付きかねるcoldsweats01
  • キム兄は演技としてはもう論外なのだろうけど、あのキャラの脳味噌筋肉っぷりを表現するにはかえってリアルだったsmile
  • キム兄以上に筋肉な奴も居たがhappy01
  • 阿部秋穂が"白い加藤保徳"に見えてしょうがなかったshock彼なら一人で戦争勝てそうだfujiしかしデカいup
  • 山口文麿はもちっとちょび髭を厳密にwinkでもゴルフ似合うよ~golf
  • 杉山参謀総長役の平野忠彦さん、やたら美声だと思ったらクラシックの歌手でしたnotes「お前はだまっちょれ!」ウケるup
  • で、その杉山参謀総長が結構怪演flairお上に怒られるとこは…のらりくらりでおちょくってるようにも見えた(失敬!)
  • その統帥部の「何とかなる」というアホさ加減に落胆したろうなぁお上…ってか「なめとんのか」という怒りもちと見えたcoldsweats02だってああいう杉山だし~bleah
  • その杉山、「便所の扉」ってどんだけな言われようsmileすぐに築地シーンを思い出すflairあの扉も両方向に開くのか?
  • 軍服より築地が似合うたけし東条coldsweats01
  • 皆寝てるよーbearingbearingbearing<円卓会議
  • 伊武さんがニヤリと笑っているとどうも腹黒にしか見えないwobblyなので最初は海軍のイジメかと勘違いしてたcoldsweats01
  • 泣きながら奏上する東条を見て「もし自分がお上の立場だったらキレてる」と思った人はそう少なくないかもbearing
  • お上はああいう人物造形で無問題goodだってあれはあのドラマの中の東条視点での"理想形"だと思うから。東条曰く「神格」ですから「神格」shine文句無く神でしょうあれはlovely
  • 何度見返しても、ラストの只野じゃない吉原記者の、徳富蘇峰に対する問い詰め口調にイラッとしてしまうangry「自分達(マスコミ)も悪い」とは確かに言ってるんだけど、どうしても「お前もなー」と返したくなるdown
  • 吉原記者の殴り書きメモが見たいmemo
  • 徳富蘇峰の部屋は誰が掃除するんだろう…本の雪崩がbook
  • 短銃自殺失敗はやはりいただけなかったかもですリアル東条down輸血に協力するアメリカ人のニュース映像を流させてしまったという点でもthink
  • 結局、あの暗号解読に尽力した学者さんの「日本軍の暗号は解けていたのに…」というぼやきがもっとも堪える。「解けていたのに」…これも戦争の本質のひとつ(含)gawk

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あの戦争は何だったのか~日米開戦と東条英機。

2008年12月24日(水)18:55~23:32 TBS
※ドラマは20:45~

【キャスト】

東条英機(陸軍大臣・内閣総理大臣)…ビートたけし

石井秋穂(軍務局軍務課高級課員)…阿部 寛

吉原政一(東都新聞記者)…高橋克典

東郷茂徳(外務大臣)…橋爪 功

近衛文麿(前・内閣総理大臣)…山口祐一郎

木戸幸一(内大臣)…風間杜夫

嶋田繁太郎(海軍大臣)…伊武雅刀

武藤 章(軍務局長)…高橋克実

杉山 元(参謀総長)…平野忠彦

賀屋興宣(大蔵大臣)…益岡 徹

鈴木貞一(企画院総裁)…大杉 漣

豊田貞次郎(前・外務大臣)…平泉 成

塚田 攻(参謀次長)…目黒祐樹

永野修身(軍令部総長)…六平直政

及川古志郎(前・海軍大臣)…黒沢年雄

佐藤賢了(軍務局事務局長)…木村祐一

石井キヨ子(石井秋穂 妻)…檀れい

徳富蘇峰(ジャーナリスト)…西田敏行

      ★

昭和天皇…野村萬斎(特別出演)

      ★

山本五十六(連合艦隊司令長官)…市川團十郎(特別出演)


【スタッフ】

脚本:池端俊策

演出:鴨下信一

プロデューサー:八木康夫・堤 慶太・那須田 淳

****************************

(注:これ以下の感想は、あくまでこのドラマを見て、ドラマの中で表現されていることについて感じたことを書いています。今回のドラマのテーマになっている戦争について、沢山の研究結果や解釈があると思いますが、自分はそれについて全て知っている・理解しているわけではありませんので、それなりの事実誤認や解釈の相違は多々出て来ると思います。あくまでドラマの世界の中での感想として受け取っていただければと願います。)

未曽有(笑)の平成大不況にて例年になく静まり返ったクリスマス・イブに放映された、重々しいテーマのドラマ。今更言うまでもなく、我らが萬斎師がなんと昭和天皇役で民放ドラマ初登場という、それこそ未曽有のビッグ・サプライズの結果がどうであったかが最大の関心事ではありました。

とにもかくにも、"あの局"が制作する戦争ドラマです。いろいろな意味で"中身"にはさほど期待していませんでした。前半のドキュメンタリー・パート冒頭にて、司会のAアナ(彼しかアナが居ないのかこの局は…隣に女優I・Pの幻影が浮かんで仕方ない・爆)が、当初の予定ではこのドキュメンタリーのナビゲーターにC・T氏を配していたのだけれど、残念ながら他界されたので…というようなお断りを述べていたのですが、もしこのC・T氏が予定通り出演されていたら何を発言したのか…(苦笑)。

ドキュメンタリーでは、今回のドラマに登場する"当事者たち"に縁の方々が多数出ておられて、血縁ならではの興味深いお話をたくさん耳にすることが出来ましたが、その言葉をそのままに解釈して良いものか。終戦後、さまざまな"風"にさらされてきただろうこの方達の年月を思うに、あだやおろそかに表面的な見方は出来ないなぁというのが率直な思いでもありました。

「あの戦争の責任は何処に在るのか、戦争を推し進めた軍か、煽動したマスコミか、熱狂した民衆か」という問いかけが、ドラマ冒頭、高橋克典さん演じる新聞記者の独白で示され、それはドラマの中でも西田敏行さん演じる徳富蘇峰との対話の中で、時には激しい口調のやりとりでありました。しかしその問いかけが見ている側に伝わるほど、ドラマの中で特にマスコミや庶民についての描写が充分にあったとは思えません。一応、それっぽいシーンや実際のニュース映画?など挿入されてましたが、これまでの既出のものとさほど変わらず、そこに特に徳冨蘇峰が「(私が)煽ったんだ!」と叫ぶだけ。つまりそのような煽動・熱狂の空気を丁寧に伝えることなく、「こういう方面からの視点も無視してはいないんですよ」的な言い訳を役者が代弁者となってがなっている、としか感じられませんでした。

なので、ドラマの最終章に当事者の血縁者が再度出ていらして「軍人は戦争が商売、戦争をしたがるから」というような発言されているところを流されてしまうと、やはりこのドラマのスタンスは問いかけ以前にいつもと変わりなくソコなんじゃないか、どうせならいつも通りに偏向で作っても良かったんじゃないの?と意地悪い感想も浮かんでしまいました。無論、この血縁者の方々の発言の深層を慮る必要はあり、額面通りに受け取ることの危険性は分かっているつもりなんですけれども(汗)。

結局、「責任の所在を皆に考えてもらう」としながら、少なくともドラマの中ではその時代の(軍部以外の)空気を伝える描写が不充分で、見る側が考えるとっかかりを奪われたような格好になっていたように思えました。まぁそれを丁寧に作ろうとしたら、たぶん2時間半では無理だったと思います。あの開戦までの3か月程度の短い期間に絞ってシナリオを組まれたという段階で、そこに至るまでの経緯は織り込んだところで結局は取ってつけたようになると思いますし。曲がりなりにもこういうスタンスを取って訴えかけた、というだけでも、それはそれなりに意味があることだったと思う方が良さそうでしょうか。

という風に、責任所在云々の側面で見てしまうと、何とも気持ち悪さだけが残り、まるで「固いと思って思いっきり力入れて噛んだら豆腐だった」みたいな拍子抜け感だけになってしまってとにかく消化不良。明けて翌日、リアルに胃が痛くて朝飯抜きで仕事に向かったという、嘘のような本当の話もあったのですが(笑)。

日を変えてもう一度拝見。視点を別のところに持って行った(実はコッチが本当のメインテーマだったのか)ら、今までの印象ががらりと変わって、この手の重いドラマに対しては少々語弊があるかも知れませんが非常に"面白く"見られました。まぁ何よりこれだけ集めも集めたり、実力派のオジサマ俳優達(笑)、この全く華やかさに欠ける(失礼っ!)むさい集団(阿部さんや山口さんは外しておくべきか…)が、シナリオの消化不良も何のその、実に濃密な絵面を創っておられました。

ドキュメンタリー部分でも"統帥権"についていろいろと語られていました。御存知の方には今更な言葉でしょうし、この統帥権だけが戦争回避への流れを麻痺させていただけではないとは思いますが、ドラマの大部分でまるで決して解けない呪文のように当事者達にまとわりつき、法(大日本帝国憲法)を順守しようとすればこの統帥権という一種の"法のねじれ・歪み"に取り巻かれてしまうというジレンマが良く表れていたと思います。あの立ち込める煙草の煙の中で繰り広げられる堂々めぐりの議論。明治の元勲達が理想に燃えて作り上げた国のシステムがそのまま守られてきたが故に、この事態にとんでもない手かせ足かせになっている。いや、要はそれを"使う"側の力量に依るところが大きいんでしょうが。参謀本部と軍令部のトップが、それはそれは出来た人間なら…。

彼らもまた、海軍や陸軍という"一国一城"の主であり、彼らの下にはおびただしい数の部下達が居ます。その"城"の利益を守るための責任が彼らには当然あり、一見馬鹿馬鹿しくさえ見える、少ない資源の取り合いシーンは、そのこと自体の是非は別として実に納得出来る場面でした。現国会でも俗に"○○族"と言われるような国会議員が利益を守るために口角泡飛ばして論戦している姿とダブるというのは言うまでもありません(笑)。

さて萬斎師の件ですが、少なくともTVドラマにおいて、これほど意思表示・主張をはっきりと声に出す演出をなされた昭和天皇役は今まで無かったのではないかと思います。映画や舞台ではあったかも知れませんが、不特定多数が見られるTVでこのインパクトの強い天皇像はそうめったに見られるものではなかったかと。普通、戦後生まれが抱いている昭和天皇のイメージは、非常に柔らかな物腰の、いささか失礼を承知で申し上げれば飄々とした空気を纏った"日本のおじいちゃん代表"という感じでした。この開戦時の天皇と萬斎師の実年齢はほぼ同じ、壮年期初頭の昭和天皇の印象が今分かるはずもありませんが、高貴な風格はもちろんのこと、御心の奥にはこのくらいの熱さを持たれていたのではないかと推察します。ましてや国家の非常時…。

"統帥権"という呪文が国家の意思決定回路に重大なねじれ・歪みを生じている以上、そのねじれ・歪みを"利用"する者がいる以上、TV画面に現れている天皇の立ち位置は、見ていて非常に辛いものがありました。統帥権の上に立ちながら「君臨すれども統治せず」の立憲君主のお立場を厳守される。意思表示はされるが、それは決定には直接つながらない。あの「どうか」という腹の底に響くような問いかけが、ままならぬお立場の中で必死に絞り出された言葉に聞こえました。

圧巻はやはり東条英機の開戦の奏上。情けないほどに泣きじゃくりながら第三案…実質的に開戦の意味しか持たない案を述べる東条に、天皇がただただ哀しげなまなざしを送るところは、不覚にも2度目の鑑賞でホロリとしてしまいました。敬愛し信奉するお上の意思を実現出来なかった東条の無念さ、その東条の無念と、開戦回避の願いと法順守の矛盾の前になすすべない自らのお立場を痛感されているのかお上。もしかしたら、このシーンの為にこのドラマは作られたのかも知れないと、 ファンの贔屓目もあるかとは思いつつ…。

そのたけし東条。正直なところ、ビートたけしさん御本人にしか見えませんでした(爆)。しかし不思議なもので、この人はそれで許せる気持ちになってしまう。今までも大久保清・金嬉老・イエスの方舟の牧師など、非常にデリケートな扱いを必要とする人物を演じてきた彼ですが、今回の配役はその最たるものだったことでしょう。確かに東条英機という人間の評価は現在に至ってかなり分かれてきているとは思いますが、それでもいまだ"日本のヒットラー"というイメージが薄くなっているとは思えません。そういう大変な役を、後腐れなく演れるのは彼しかいないんじゃないか。

確かに、滑舌はボロボロで(ご本人も台詞にはかなり苦労したとのお話)立ち姿もおおよそ軍人には見えない姿勢の悪さ、更にあの彼独特の身体や頬をピクンピクンと動かす癖はそのまんまで、当初はもうそこにいらついてしまっている自分が居たのですが(苦笑)、真実の姿はどうであれ、このドラマの中で描かれている不器用な努力家、ひたすら一途にお上を慕った軍人としての東条は、ビートたけしさんの中にしっかりと生きていたように思います。

他にも…同じく戦争回避を願った石井秋穂役の阿部寛さん、体躯を生かした軍服姿があまりに素晴らしく見とれておりました。「少しでも気を抜くと(所作が)現代人に戻ってしまう」とメイキングで語られてましたが、その言葉通り、徹頭徹尾指の先まで神経の行き届いた"エリート軍人"の姿はお見事。戦争回避の最後の手段・内閣総辞職をかたくなに拒む東条との対峙シーンが印象に残りました。近衛文麿役・山口祐一郎さん…ヘタレ宰相もっと見ていたかったぞー!!…まぁ仕方ないんですけどね~しかしあの何とも無責任な放り出し方に、某・元首相を思い出した方は少なくないだろうと(笑)。外務大臣東郷茂徳役・橋爪功さんはじめとする円卓会議のお歴々は皆さん、本当に安心して楽しく見させていただけました。おっと忘れちゃいけない御所様を(笑)…市川團十郎丈、とにかくお元気で安堵しました。物凄い眼力の山本五十六、登場時間は短かったですが強烈なインパクトを残してくれました。遊び心も備えた粋な司令長官に乾杯。西田敏行さんの徳冨蘇峰はかなりカリカチュアライズされた感じで、"昭和の怪人"というイメージでしたね(笑)。そうそう檀れいさん!見事に"昭和初期の奥様"の雰囲気でした。むさい画面(たびたび失礼っ!)だらけの中でほっと一息つける美しい癒し系。阿部さんとの夫婦像が非常に穏やかで良かったです。

ということで、俳優陣には心から楽しませてもらったのですが、やはり前述しましたように、「この戦争は何だったのか、責任はどこにあるのか」というテーマは掲げられっぱなしで、曖昧模糊としたまま、やっぱり軍の問題じゃないかという、いつものところに曖昧にソフト・ランディングしたかのように終わってしまったのが悔やまれます。これまた前述しましたように、これを民放がたかだか2時間半で描写しきるのは無理だと思います。民放の宿命としてCMで物語が細切れになるのも激しいストレスを生じました。CMで実質的な時間が短くなるのだったら、映画あるいは公共放送で、と思われた方は少なくないのではないかと。

****************************

余談中の余談(笑)。今回の放送に先立って、数日前にナビ番組がありましたが、番組のメイン画面(Aアナ達の背景)に、今回のドラマに登場する人物達の実際の顔写真が投影されていて、それが時間ごとにその人達を演じる俳優陣の顔にモーフィングしていくというエフェクトがなされていました。たとえば本物の東条英機とたけし東条の顔が同じ場所に交互にあらわれるわけです。これは本放送の前半・ドキュメンタリーパートでも同じセットが使われていました。しかし途中で気が付いた…東条や蘇峰、石井秋穂に妻キヨ子、山本五十六らはみなその俳優さんの顔にモーフィングしているのですが、昭和天皇役の萬斎師だけ萬斎師のまんま!しかしナビ番組の時は間違いなくモーフィングしてたんですが…やはり"お写真とはいえ昭和天皇のお顔を【いじる】"というのはまずいのではないか、ということだったんでしょうか。どちらも録画撮り番組ですので、本放送の方は急遽萬斎師のところだけ画像処理でもしたのか…。うーん、逆に悪目立ちしてる風に見えてしまってなんだかなぁ…。

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第44回 野村狂言座。

2008年12月17日(水)18:30~ 於:宝生能楽堂

◆『茶壺(ちゃつぼ)』
  
 すっぱ:佐藤友彦  中国の者:佐藤融  目代:高野和憲
 後見:野村良乍

◆『栗焼(くりやき)』 

 太郎冠者:野村万作  主:野村万之介
 後見:岡聡史

◆『金津地蔵(かなづじぞう)』  

 子:野村裕基  親:野村萬斎  金津の者:石田幸雄 
 立衆:月崎晴夫・高野和憲・竹山悠樹・深田博治・時田光洋・岡聡史
 笛:八反田智子
 後見:野村万作

※『茶壷』

栂尾(とがのお)の茶を買って来るよう言いつけられた中国の男が、その帰り道でしたたかに酔って寝ていると、そこにすっぱが通りかかり、男が担いでいた茶壷の肩ひもに片腕を通して、そのまま寝た振りをします。男が目を覚ますと、すっぱは茶壷が自分のものだと言い張り、二人は茶壷をめぐって争いに。その様子を見た目代(もくだい:代官)が二人の仲裁に入り、双方の言い分を聞きますが、すっぱは男の話を盗み聞きして同じように答えるので判断が付きません。目代が二人に入日記(いりにっき:商品の内容目録)について問うと、男は買い付けの道中の様子などを織り交ぜ、舞い謡いながら説明をします。それを見てすっぱもまた真似をして舞い謡う。相舞で比較しても全く埒があかないので、ついに目代は「こうなったら私が預かっておこう」と茶壷を奪って去ってしまいます。

演目・演者共に初見。名古屋狂言共同社と、万作家からは高野師のコラボです。中国の者役の佐藤融師、ちょっぴりイケメン(笑)で明るく酔っ払っている様に好感が持てますhappy01すっぱの友彦師は実に胡散臭くてちょいワルどころかかなり悪そうなオジサマ(失礼っ!)。中国の者の真似を繰り返しますが、言葉だけの時は鮮やかに、舞や謡いを絡めるところではついて行けなくなって、言葉や動きのお尻の所だけ合わせるというsmileそのあたふたとした姿が、いかにも詐欺師といった風貌(ますます失礼っ!)とギャップが激しくて、大笑いさせていただきましたnoteラストは「こうやって埒があかないなら仲裁者あずかりで」と、目代がちゃっかり茶壷を持って行ってしまう…これは他所でも同じようなご意見があって納得なんですが、この結末を見ているとどうもこの目代の素性も何だか怪しくなってくるcoldsweats01もしかしたらこの目代もすっぱなのではsign02だとすれば、ラスト直前まで実直そうに仲裁を取り仕切っていた高野目代が"一枚上手"だったということでしょうかbleah

※『栗焼』

主人は、丹波の伯父からもらった40個の栗を客人に出すために、太郎冠者を呼んで上手に焼いてくるように命じます。囲炉裏(いろり)で栗を焼き始める太郎冠者ですが、いかにも美味しそうな栗なので、いろいろと理屈をつけて一つ、二つをつまみ食いしているうちに、結局全部食べてしまいます。困った太郎冠者は主人に、竈(かまど)の神夫婦と34人の公達に栗を献上してしまったと嘘を吐きます。しかし主人が残りの4個はどうした、と詰め寄るので、残りは虫に食われたり灰まみれになったりしたと更に嘘をついて、主人に怒られてしまいます。

あちこちで、京都の千作翁の名演について語られているので、東の翁(笑)万作師ならばどうなのか、楽しみにしておりました。こちらも初見。導入とエンディングのオチはともかくcoldsweats01万作太郎冠者がどのように"栗を焼く"かに注目!いやいやもー栗を合わせた両手の中で"はふはふころころ"させる手付きのなんとかわゆいことかhappy02竈の火にパチンパチンと栗がはぜている光景が浮かんできます。この日、能楽堂の外は冷たい雨でしたが、万作太郎冠者の周りだけ、竈の暖かさを感じ、火の明るさが見えたように思います。主人からの言いつけですが楽しそうに栗を焼くその表情、またどこか六世万蔵師とダブって見える。映像でしか知らない先代なのですが…リアルタイムに万蔵師を知る方々にはどのように見えたのだろうか、と。ほぼ一人芝居の小佳曲といった印象ですが、観ながら手足の指の先までホッコリと温まっていくように感じましたheart02

※『金津地蔵』

越前金津の者が、地元に建立した持仏堂に安置する地蔵像を求めて都にやってきます。仏師を訪ね歩いていると、そこにすっぱが現れて、自分は由緒正しい真仏師だと騙り、地蔵を作って翌日、因幡堂で手渡すと約束して別れます。すっぱは自宅に戻ると自分の子供を呼んで、家が貧乏なので家計のために地蔵の姿になって売られてくれ、と頼みます。けなげに承諾する子供。後で必ず迎えに行くと約束して、すっぱは子供を地蔵に仕立てます。翌日、金津の者は地蔵のまるで生きているかのような出来に満足して、金を払うと地蔵を背負って戻ります。持仏堂に地蔵を安置すると、金津の者は一同を集めて礼拝。すると地蔵が「饅頭が食べたい、古酒が飲みたい」と口に出すので、一同は供物を捧げて、自分達も供物の残りで宴会を始めます。地蔵が坐像のままでは形が悪いので、立ってもらおうと囃し立てると、地蔵は立ち上がって囃子に乗って舞い始めます。浮かれ気分は最高潮、地蔵を先頭に一同連なって囃し立てながら退場していきます。

管理人、今年最後のシテはユウ君となりました。この『金津地蔵』、4~5年前に同じくユウ君のシテで拝見しましたが、それ以来だったのでちょっとオーバーですが隔世の感ですcoldsweats02ラストの囃し立てのシーンでは、当時のユウ君は当然ながら続けて繰り返して舞い謡うだけで精いっぱい(なにせ4歳ぐらいですから当たり前)、体力が続かなくてどうしても乱れるリズムに周囲の立衆のおいちゃん達(笑)が丁寧に合わせていたのを良く覚えています。しかし今回はもうそんな心配は無用good謡いも踊りもずっと力強くリズムもしっかり。実に楽しけな祝祭性も充分漂わせて、見事においちゃん達を引き連れて行きましたshine本当に"惑わせて引き連れている"ように見えちゃったところは、これもあちこちで言われていますがまさに"ハーメルンの笛吹き"のようでしたlovely橋掛かりに退場するところは、本当に手拍子して見送りたくなりましたね~。実際、近くの席の或るご婦人は気持ちよさそうに身体でリズムを取っていらっしゃいましたnotes

話は前後しますが、地蔵として金津の者に背負われる時、さすがに石田師も重そうにしていると見えました。石田師の背中に乗せる時も、萬斎師がさりげなくサポートして「せぇのっ!」で持ち上げてる感じ。背負われて、袴の下からひょろりと伸びた細いふくらはぎも成長を思わせる光景。

更に前のシーン、すっぱが子供に地蔵となって売られていくよう頼むところでは、見所から何度も笑いが起こっていました。本来なら地蔵として売られても親のためならかまわないという子供の健気さに胸が痛くなるようなところなんでしょうが、そういう背景以上に、ユウ君の利発そうな言葉のやり取りの妙なおかしみが先に立っての見所の笑いだったように思います(もちろん自分も大いに笑いましたhappy01)。序盤で金津の者を堂々と騙していた萬斎すっぱが、いざ自分の子供を前にして、貧乏の辛さを愚痴るところで何だか情けなくしみったれて(爆)見えて、利発な子供と実に好対照でした。そのあたりも可笑しさの理由かな?子供を売る話で笑えちゃうというのはちょっぴりブラック・テイストかなとも思ったりbleah

前回のエンディングは、親が迎えに来てすばやく子供を背負って逃げて行くというものでしたが、今回のは親が出て来ません。まるでシテのユウ君の成長に合わせて"親離れヴァージョン"を選択したかのように思えましたwink

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ふぁんたじい。

クリスマスイブの"陛下"に思いをはせているその間にも、また新しいニュースが入って来て、年の瀬の慌ただしさに拍車をかけてくれてますがcoldsweats01

以前からちらほら話が出ていた若旦那演出舞台『六道輪廻』の制作発表記者会見の模様が掲載されております。

http://www.sanspo.com/geino/news/081217/gnj0812170505010-n1.htm

コチラは動画。『至高の華』でやたら目立った"くりんくりんの前髪"がここでも(笑)。

http://sankei-hito.iza.ne.jp/blog/entry/838649/

「今までにないモノをお見せします」と自信たっぷりの演出家・若旦那ですが…。

【天上界の長を演じる麻実れい(58)は「男の役なんです」と苦笑いしながらも、「(修羅界の戦士を演じる)萬斎さんと男同士の戦いをします」と気合たっぷり。】

…はい???

"天上界の長" VS "修羅界の戦士"
        
         ↓

    (強制脳内変換bleah

         ↓

  "光の戦士" VS "闇の戦士"

あの~何か昔の趣味に呼ばれてますか自分(苦笑)???

ココの動画のまんまに戦ってるお二人のお姿しか想像出来なくなってます~coldsweats02
コスチュームとか武器(爆)とか、とめどもなく妄想が湧いて来て困ってます~crying

麻実姐さんはさしずめ…『Ⅳ』のセシルあたりか。
若旦那はやっぱり『Ⅶ』のセフィ(略)。

肝心要の仏教がどっかに飛んでますすんません…。
常連の某お方が仰った「『百億の昼と千億の夜』の"帝釈天 VS 阿修羅"」の方がずっとまっとうなたとえですな(苦笑)。麻実姐さん帝釈天(笑←笑うな)。
ん?しかし…"天上界の長" VS "修羅界の戦士"というならまんま"帝釈天 VS 阿修羅"でも良いような(笑)…ならばナザレの男は誰が演る?(←違)

とりあえずチケ取りがんばろーup

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豪華。

昨夜遅くに『あの戦争は何だったのか』の5分間番宣が流れましたtvと言っても…『流星の絆』『ブラディ・マンディ』といっしょくただったので実質2分ぐらいでしたがweep

それでも、主要登場人物のほとんどがアップで映る豪華版shine今更ながらこの実力派だらけの俳優陣の凄さに圧倒されます。ドラマだけでなくドキュメンタリーも組み込まれるとのこと、さぁどのような4時間半となるのか?

陛下、怒号(怒ってはいないかcoldsweats01)一発!

「絶対に勝てるかー!!!」

どのようなシチュエーションで、誰に向かって放たれた言葉なのかは分かりませんが…もろオイディプスになってましたhappy02その直後に、たけし東条のもんのすごく自信無さそうdespairな表情のUPで番宣終了…やはり東条に向かっての言葉か?

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いない。

200812151635000 ということで(何)本日仕事帰りに、お江戸四ツ谷にある某大学構内の某チャペル("某"の意味なしcoldsweats01)に…件のDVD探しついでにふらっと行って参りました。信者でなくても入れます。クリスマス間近ということで、チャペルの外には"イエス・キリスト生誕"のドールハウス(?)が飾られてました。

あれ???赤ちゃんイエスが居ない???まさか誰かがいたずらで持って行っちゃった???なんて罰当たりな!!!…と立腹しかけたところで気がついたbearing

クリスマス前ですから…まだ生まれてませんねイエス様xmas多分25日(か24日)になったら、この"藁のベビーベッド"に可愛い赤ちゃんが置かれることでしょうchick

教会の雰囲気は大好きですね~heart04ただ、みなさんあまりにも静かにお祈りされてるので(当たり前)、だんだん申し訳なくなり数分でそそくさと退場致しましたsad

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時節柄。

……若旦那、こんなお仕事もしてたんですかcoldsweats02

http://www.sanpaolo-shop.com/product/6973

このショップ、昔からしょっちゅう行ってたんですが全然気が付かなかった…。
(あ、宗教的バックグラウンドは全然関係無いですcoldsweats01

…ちょっくら顔出してみるかな(おいおい・笑)。

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ラストワン。

レポ・ページに『国立能楽堂定例公演(どじこ様レポ)』『第1回桂諷會~神々の饗宴(瑞穂様レポ)』を清書UP。『狂言劇場 その伍』『至高の華~銀座篇~』をリンク処理。

管理人の観劇予定も、あと17日の「野村狂言座」1つを残すのみとなりました。今年も若旦那にはたくさん楽しませていただきましたねhappy01今年はユウ君の雄姿(『金津地蔵』)で締めくくりとなりそうです。楽しみ楽しみshine

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至高の華~銀座篇~。

200812082104000 2008年12月8日(月)19:00~ 於:ル・テアトル銀座

◆解説

◆狂言『成上り(なりあがり)』

 太郎冠者:野村萬斎  主:石田幸雄  すっぱ:高野和憲
 後見:竹山悠樹

◆能『邯鄲(かんたん)』 夢中酔舞

 蘆生:梅若玄祥  童女:松山隆之  勅使:宝生閑
 大臣:宝生欣哉・大日方寛・梅村昌功
 輿:則久英志・野口能弘
 間・邯鄲宿ノ女主:野村萬斎

 後見:内藤幸雄・小田切康陽
 地謡:川口晃平・坂真太郎・谷本健吾・古川充・角当直隆・馬野正基
     山崎正道・鈴木啓吾
 
 大鼓:亀井広忠  小鼓:曽和正博  太鼓:助川治  笛:一噌隆之

※『成上り』

主人が初寅詣りのため、太郎冠者を伴って鞍馬に出かけます。参詣してその夜は籠って休みを取っていると、そこにすっぱが現れて、眠っている太郎冠者が抱えた主人の太刀を青竹とすり替えて盗んでしまいます。朝になって目覚めた太郎冠者は、太刀が青竹に変わっていてビックリ。寝ている間にすり替えられたことに気づきますが、主人に怒られたくないので、鞍馬から帰る道すがら、青竹を隠しながら、主人に珍しい話をして誤魔化そうとします。世間に「成上り」といって、山芋が鰻に、蛙が甲虫に、燕が飛魚に、嫁が姑に"出世"するなどと話しながら、「これも太刀から立身出世しました」と青竹を主人に見せますが、したたかに主人に怒られてしまいます。そこにたまたま件のすっぱが通りかかり、主人はすっぱをはがい締めにして「縄をかけろ」と太郎冠者に命じますが、太郎冠者は言われてから縄を綯い始める始末。やっと綯えたところで、今度は主人の方に縄をかけてしまい、せっかく捕まえたすっぱにまんまと逃げられてしまいます。

ホール公演の利点を生かして、演者にピンスポットが当たったり、時間経過がバックスクリーンの色変化(青空→夕暮れの赤→夜)で表現されています。能楽堂の柱に当たる四隅には、短い竹と松の枝を組み合わせた"ミニチュア門松(?)"が置かれ、舞台正面奥には中振りの松が2本。この松の枝振りが2本ともほぼ円錐形で、季節がらどうしてもクリスマスツリーに見えてしまって仕方が無かったのですがcoldsweats01門松とツリーで和洋折衷(違)。

初見の『成上り』。"成り上がる"たとえ話として太郎冠者がいろいろな例を出しますが、これは昔から一般的に伝えられていることなのか、それとも(このお話の中での)太郎冠者のでっち上げなのかbleah「嫁が姑に成り上がる」あたりは、わわしい女に何かとやり込められることが多い狂言の世界の男性陣にとっては、思わず苦笑いの一つも出そうな"たとえ"だったのではないかとwink

後で調べたところ、大藏流ではすり替えられた青竹を見せて主人がやっぱり(笑)怒るところで終わっているようなのですが、こちら和泉流ではここからが"見せ場"note眠っている間に太刀と青竹をすり替えられたのも充分オマヌケですが、偶然の神様の思し召しでにっくきすっぱと再び遭遇、いざ太刀を取り返さんと大立ち回りするかと思いきや、のんびりと縄を綯い始めるのもさらにオマヌケな太郎冠者happy02主人に後ろからはがい締めにされたすっぱが必死の抵抗、唯一動く足で縄を綯う太郎冠者を蹴っ飛ばすfootと、何とも無様に右へ左へごろんごろんと転がる様がとにかく可愛いやら可笑しいやらheart04後方で必死の攻防を続ける主人&すっぱを尻目に、転がされても縄を綯うsmile

やっと綯えた縄を間違って主人に掛けてしまうオチはお約束でしたが、この後半のアクションシーン(笑)が無い方のシナリオだとちょっとあっけないかな~とも思います。かといって、こちらのシナリオでは後半、"成上り"の話がすっかり何処かへ飛びますが(爆)。何はともあれ、今回もオバカ全開の萬斎太郎冠者を堪能できましたlovely何となく、眼の下を黒く塗ってペッタリ真ん中分けのカツラでコントをしている志村けんさん(分かりますか?)を思い浮かべていましたbleahああいう"ズレまくりキャラ"だったなぁ、と。

ミーハーな余談。萬斎太郎冠者、最初から前髪のはじっこがぴょこんとハネてましたhappy01途中、後ろを向いた隙に手を当てて直そうとしたようですが、かえってますますハネ上がるはめにhappy02可愛さ倍増でした(おい)heart02

※『邯鄲』

蜀の国の蘆生(ろせい)という青年は、自らの生き方に悩み、何らかの悟りを得ようと旅に出ます。途中、邯鄲の都の宿に立ち寄り、そこの女主人から"邯鄲の枕"の由来を聞かされて、その枕で休むよう勧められます。眠りについた蘆生は華やかな夢を見ます。楚の国の勅使が現れて、王として楚に招かれて欲しいと、蘆生を輿に乗せて連れて行きます。楚の国に到着すると、そこにはあまりに豪奢な宮殿があまたの富で埋め尽くされ、この世の栄耀栄華をすべて集めたような世界が目前に広がっている。この宮殿で蘆生は楚王として、不老不死の酒を飲み、恍惚として舞いながら、50年もの月日を過ごします。しかしいつしか、自分に仕えていたはずの大臣達の姿が消え、蘆生は件の宿の女主人に起こされて、長い長い夢から目覚めます。夢の中で栄華を満喫しながら50年過ぎたはずだったのに、それが実際は"女主人が粟の飯を炊き上げるまでのほんの少しの時間"だったと知った時、蘆生は儚い人の世の真実を悟るところとなります。

狂言『成上り』の後に休憩、その間に舞台には一畳台が運ばれてました(写真参照)。屋根は付けず自然の木を模したような柱で囲まれています。ここが蘆生の寝床になり、夢の中の玉座になり…。こちらも狂言と同じく照明効果が使われます。

こちらも初見。いろいろなブログ等を読んでみると、なかなかの人気曲のようなので、一度観てみたいと思っていました。なので今宵はコチラの方がメインディッシュrestaurant萬斎師の女主人姿もこれまた評判だったし(笑)。

そのお目当ての女主人が冒頭から登場。本狂言のような縫箔に美男鬘ではなく、能の女役と同じ錦の装束を着けた姿は眼福でしたshine女物の鬘は正直あまり似合わないかなと思いましたがbearing件の枕を胸元に立てかけるように抱え、その由来を語り、そして寝所に見立てた一畳台に枕を備え付ける。同じ"宿の女主人"でも『班女』のアイのようなどぎつい人物描写ではなく一種の高貴さがあり、"不思議なアイテム"を手にしている所為か、それこそ占い師の女のような神秘的な空気も感じます。

人生に悩める青年・蘆生は六郎改メ玄祥師。かなり恰幅のよろしいお姿なのでcoldsweats01青白い哲学青年といったイメージの蘆生と上手くマッチングするかなぁと、シロウトの勝手な心配はありましたが…金地を基調とした厚板に法被、略式の袈裟を着け、頭には裾が長い唐風の帽子。王族のような威厳があって存在感が際立っています。ただ、これだとやはり哲学青年のイメージでは無かったかも。

女主人に勧められて件の枕を使い、一畳台の上で眠りにつく蘆生。照明効果で舞台は俄かに明るくなり、夢の中に勅使が現れて蘆生を王として楚の国に迎え入れます。輿に担がれ(舞台では輿に見立てた作り物の下に入ります)舞台を一巡するとそこは楚の宮殿。宿屋の簡素な寝所だった一畳台が金色の玉座に見立てられる。傍にはかしずく大臣達、金の冠に緋の舞衣を纏った童女。この童女(子方だと思います)が実に可愛らしいのですが、その反面妙に不気味な気配を持っていたように感じて、しばし目が離せなくなりました。この童女の愛らしい姿の裏に、にっこりと笑いながらあやうい罠(栄耀栄華の幻影)の中に蘆生を引きずりこんでいくような恐ろしい一面が感じられましたcoldsweats02魔的な存在、と言っても良いかも。多分、それほど愛らしく魅力的だったのでしょう。愛らしさと"魔"は表裏一体だと思うものでcoldsweats01

蘆生には不老不死の酒までが振る舞われ、幸福感に満たされた蘆生はその喜びを舞であらわします。袈裟を外し法被の片袖を脱いで、唐団扇をひらめかせながら舞う姿の優美さ、堂々たるところは王族そのものの威厳あり。しかしここでも、これが哲学青年のイメージを残したままだったら、この華やかな舞もまた趣が違って見えたかも知れません。自らに酔うように舞う蘆生の後ろで、静かに勅使や大臣、童女が退場していきます。ただ一人になった蘆生は慌てて一畳台の上の枕目がけて身を投げ出す。大臣達の姿が消えたのに気づいて、とっさにそれが"夢の終焉"だと察知したのでしょうか。また"眠れば"この栄耀栄華の続きを楽しめる、と。もう(夢の中とはいえ)50年も経過しているのに…人間の欲深さがふと垣間見られる瞬間。先に別のシテでご覧になった方のお話では、この一畳台への飛び込みはそれこそ"空中にジャンプする"という激しい動作だということでしたが、今回は台の上に駆け込んで横になる、という動きでした。横になった玄祥師、かなり息が上がっているのがあからさまに見えてちょっと心配になりましたが…wobbly

蘆生が一畳台の上に横になるのと同時に、それまで舞台下手に控えていた女主人がすばやく駆け寄ってきて扇で2度ほど蘆生の身体を打ち、眼を覚まさせます。「粟飯が炊けたので起きて下さい」と。気がついてガバッと身を起こし呆然とする蘆生。このあたり、ほんの一瞬だったのですが実に写実的な演技だったのが印象に残っています。現代のお芝居を見ているようなリアリズムあり。50年、いや永遠に続くと思われた栄耀栄華は、実は粗末な粟飯が炊けるまでのほんの短い間のことだった。ここでの蘆生の心情は、観る人によってさまざまに解釈されると思います。あまりはっきりとは断言出来ませんが、自分はここでの玄祥蘆生に、何か吹っ切れたような姿を感じました。もしかしたら、玄祥師の堂々たる体躯の所為でそう見えているところも無いとは言えませんがcoldsweats01ただ、目覚めて宿を去る蘆生に女主人が「またお越し下さい(良かったらまた枕をお貸ししますよ)」的な言葉をかけているので、この女主人の目線からでは、蘆生はコレだけの体験をしてもまだ迷っているように見えたのかも知れない。蘆生だけではなくこれまでもこの枕を使った客が熱心なリピーターになっているという背景があっての、この女主人の言葉というのも考えられます。諸行無常を悟り、それをポジティブに取るかネガティブに取るか、あるいは欲に負けて現実逃避するのか。静かに邯鄲の宿を後にする蘆生の姿を眺めながら貴方は何を思いますかと、観客一人一人に問いかけて来るようなエンディングだったと思いました。

卑近なたとえをすれば、人気ドラマ『世にも奇妙な物語』のようだったな、と。日常の隙間にある非現実の穴に落ちて体験したことが、日常に戻ってからも苦みのあるスパイスのように心にチリチリと刺激をなしているような感覚。後日、また別のシテでこの『邯鄲』を観る機会があれば、また別のスパイスがブレンドされてくるのではないかと思います。これからも続けて観ていきたい演目の一つとなりました。

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